【参加の外化】Xデザイン学校大阪分校公開講座:UX/サービスデザインの今とみらいを考える

Xデザイン学校大阪分校公開講座が開催されました。 今回は受講者ではなく、ご縁もあり運用側の立ち位置で参加させていただきましたので、受講者目線・運営目線織り交ぜて外化してみる。


■集客数と濃さ

運営側としては「継続させる」という意味で「マネタイズ(収益化)」はとても大切なポイントです。
だからと言って「マネタイズのために頭数そろえればそれでいいの?」ってところはそこは悩ましいところ。 

 ちょうどご参加いただいた近大の山縣先生がfacebookにアップされていたコメントが

「基本軸のぶれない部分と時代状況の変化の部分とが、相変わらず絶妙に織りなされてるので、油断ならない(笑)ぼーっと聴いてると、えらい目に遭います(笑)」

とほんとにそうで、、、この”時代状況の変化”をお話しして下さるときの浅野先生のスライドや例え話などはほんとうにわかりやすい。

先生のスライドの表紙の写真一枚とってみても、、、ほとんどが先生ご自身がご自身の足と目とカメラ(当然お金も、、、)で撮られた写真なんですよね。
こうして常に現場に赴いて現状を踏まえてお話しをアップデートされているところが本当に凄い。

さらにそのお話しのひとつひとつも「僕の話はみなさんどこかで見聞きしたお話しもあると思います。そうしたバラバラにある情報を、どう繋ぎ合わせるか、繋ぎ合わせてコンテクスト(文脈・ストーリー)にして伝えられるか、そこが僕の価値ですよね。笑」と仰っておりましたが、、、ご自身のもともとの知見が凄いのはもちろんのこと、、、こうして常に現物と現場に赴いてアップデートされているところが本当に凄い先生だなと改めて感動した次第。

で、こんな濃厚なスライドを3時間。 ただ聞いてるだけだと、、あっという間にその波に洪水に飲み込まれる。ぼーっと聴いていると、えらい目に遭うわけです。汗

講師・受講者というより、一方的な対話の中で織りなされる授業ではなく、、、
講師・参加者というような、発話の量は違えど双方向なやりとりをもってともに集った場を紡いでいく協働的な側面も多分にあるわけで。。。教師:nに見える。(アトリエ型学習だったかな)

集客数こそ伸び悩んだものの、そんな中この講座のことを知り、お休みの時間やお金を使って「参加しよう」と決断された方々は、既にその人それぞれの問いがあり、故にアンテナの感度も高い方々が集まったのかな?と。 既に日常そのものがダブルループ学習に向いている方たちであり、ともに学びの場を作っていくアトリエ型授業に向いている、とても濃い方々にご参加いただけたのかなと感じておりました。


「アトリエ学習」「ダブルループ学習」について。浅野先生のブログの中でこのあたりのお話し。身につまされます。。。
http://asanoken.jugem.jp/?eid=3233

日々移り変わる社会の状況に合わせて変化する必要がある。特に昨今はそれが凄まじいスピードで来ている。ダブルループラーニングの世界である。


■参加者同士で日々の問いを議論する「アンカンファレンス」

年齢や性別、もちろん職種の違いに関わらず、「UXD」「サービスデザイン」というキーワードに皆さんそれぞれの問いの答えやヒントを見出そうと集まった方々と「アンカンファレンス」というワークショップを行うと。

この「アンカンファレンス」初体験だったのですが、なかなか面白い。

そもそも問いをもち、アンテナ高めの「濃い方々」が3時間みっちり先生の講義でインスパイアされた状況からの議論。胸アツの何物でもない。


「アンカンファレンス」とは僕も初体験で何ぞや?


だったのですが、、、 テック系のカンファレンスの休憩時間に出されるちょっとしたサンドイッチやカスクートと飲み物のテーブルの周り、もしくは手にそれらを持ったまま、参加者同士が今まで聞いたカンファレンスセッションを振り返って白熱の議論を各々のテーブルで繰り広げられると、、、 Web系だとAdobeとかAWSとかのカンファレンスに行くと本当にそういうことが良く起こる。

で、これを「おもしろい」と感じた人達、、、これこそまさに、経験学習の「省察の時間」だと感じた人が、ワークショップの一つの形としたものが「カンファレンスじゃないところでの議論」からもじったのか「アンカンファレンス」というものらしい。今回の具体的な方法は。。。 

  1. まず先生の講義を聞く(ざっと3時間ほどありました。濃い。。。) 
  2. 参加者40名各々がご自身が議論したい内容をポストイットに書き出して、ホワイトボードに集約
  3. KJ法で片っ端からグルーピング(担当させていただきました。上手くできたのだろうか。。。汗)
  4. 結果7つにグルーピングされた内容をA3に張り出し、、、それぞれについて先生からの解説や書かれた内容の確認
  5. グルーピングされた7枚の紙(ディスカッションテーマ)を持ってそれぞれにディスカッションオーナー(議論をファシリテートする人)を立候補で選出。(参加者の方で希望者がなかったので僭越ながら「"UXの必要性"」というテーマでディスカッションオーナーをさせていただいた。)
  6. それぞれディスカッションテーマを持ったディスカッションオーナーのもとに各自移動。ディスカッション開始
  7. タイムマネジメントしてファシリテートして、、、時間内に結論をA3に記して代表が発表
  8. 浅野先生からの講評

ディスカッションテーマ"UXの必要性"に集まってくださったメンバーは 

※左上から反時計回り

「UXD/HCD全ての人々の基本的な教養になる・・・具体的には」

こちらの方はよくよく訊ねると、、、公共性の高い「駅」を作るお仕事の方。 公共性が高く様々な利用者がある中で、ニーズを引き出すヒントがUXD/HCDにあるのではないかというご自身の問いからこのテーマに参加して下さったとのこと。

「ユーザーが限定的な場合のUX」(「特殊なユーザーでもUXの手法は適用可能か」)

よくよく訊ねると、なんと手術支援ロボット(ダ・ビンチのようなもの)に取り組まれている方!つまり術者や患者さんという前述の方と対局にかなり特殊な利用状況や利用者にとってもUXの手法や考え方は適用できるのかというご自身の問いからこのテーマに参加して下さったとのこと。 

「製品の多機能性の考え方は企業の多様化するサービスにも当てはめられる?」

理工学部の大学生の方。グッズドミナントロジック(Goods Dominant Logic)の課題としてあった「誰得のプロダクト」ではなく、ユーザーの本質的なニーズ(インサイト)を引き出し、その上で必要でない機能は捨て、本当に必要な機能を付与して価値を高めるという考え方やその手法は、サービスの多様化、事業の多角化とこの「多」をより洗練させるためにも使える考え方手法になりうるのかというご自身の問いからこのテーマに参加して下さったとのこと。

「なぜUXに興味を持ったのか」

経済学部の大学生の方。「UXは万能薬に見えたが故に、どう各自のニーズに適用して良いかわからない。」「なので参加されている方々に問いかけることで自身の問いのヒントが見いだせるのではないか」というご自身の問いからこのテーマに参加して下さったとのこと。


普段僕は仕事でプロジェクトマネージャーとしてチームアサインさせてもらってるわけだど。。。 前述の各々のアンテナを持って、ここに集った方々故に、なんて胸アツな問いをお持ちで。

よくよくヒアリングさせていただくことこのような状況。

今回の講座でも何度もコンテクスト(文脈)という言葉が飛び交っていましたが、、、

デザイン3.0よろしく「総力戦の時代」になってくると。。。 分業ってレベルでなく、ありとあらゆる職能の方々とプロジェクト組む機会が増えてくる。そうなったときに誰の意見をもとに、プロジェクトをドライブし意思決定していくのか。。。

エンジニアの意見?プランナーの意見?はたまた営業?発注者??

今でさえこの状況になるのであれば、、、「総力戦の時代」になれば、、、カオスな状況しか思いつかない。汗

だれかが関わるみんなが納得できる「プロジェクトの大義名分」を決めてあげないといけない。

その「大義名分」として、利用者目線、ユーザーのインサイトが本当に重要になってくる。メンバーがちゃんとユーザーのインサイトが見えていれば、あとは、その大義名分のもと、各々が得意な領域を攻め、組み合わせていけばよいのだと思う。

  • ユーザーのインサイトを満たすという共通の成功基準が見え、納得している状態での総力戦

  • 各々の成功基準で突き進む総力戦

と、どちらがよりよい価値を生み出すか。。。当然前者だと思ってるわけで。

そうした「ユーザーのインサイト」を引き出すことができるのが、、、UX、HCDプロセスなんじゃない?と。

つまり先生も仰っていたように「UXD」「サービスデザイン」の手法や考え方は専門的なものではなくむしろどの職能・役割の人にとっても"素養"や"土台"になると。 プロジェクトの中でヒト・モノ・カネ・時間の制約があるなかで、ユーザーのインサイトに基づいた選択と集中を実施し、よりよい所産を生み出すためにやはり、現時点ではUXは必要という結論に至った。

個人的におもしろかったのは、、、医療ロボットといえば、、、 ちょうど、、先月の2月末にバルセロナで開催されたMobile World Congress 2018で、2020年からの商業利用開始が目論まれていた「5G」が欧州・米国では前倒しして2018年から開始していくというニュースが流れた。

この5Gは単に高速大容量の通信が可能になるだけでなく、 

  • 低遅延(通信の遅れがほとんど発生しない(僅か50ミリ秒(500分の1秒)の遅延)←これをキャッチーにして見せたのがPerfume×docomoの昨年11月の1夜限定ライブ放送) 
  • 多数端末接続(1平方キロメートルの範囲内に存在する端末100万台が同時接続できる)

 という地味に飛んでもないパワーを持っている。この5Gが本格的に社会インフラになると、Mobile×Sensor=IoTが加速する。

そうするとますます、

  • コネクテッドカー、無人運転
  • 旅客・貨物輸送用大型ドローンの遠隔操作
  • 遠隔精密製造機器
  • 遠隔医療システム 

などなど「遠くで正確に精密により安全に」というコトが叶うようになり「5Gが張り巡らされると社会や生活そのものにパラダイムシフトを与える起爆剤」になりえるということを示唆してる。

で、先の医療ロボット。技術的には遠隔医療システムが現実になった時、、、ユーザーのコトがどう変化するのか。。。

今まで名医の執刀を求めて、渡航費用、滞在先での生活費、異なる環境での生活不安・不満などから解放されたときにどのようなインサイトが生まれるのか。。。

そうした新たなユーザー層からインサイトを手繰り寄せる概念や手法として「UXD」や「サービスデザイン」が必要になるのだろうなと感じた次第。

改めて未知なる課題やユーザー体験が生まれる時に、そのインサイトを総力戦を繰り広げることになるであろうメンバー間で意思疎通を図るための"素養"としてやはり、"UXは必要"だと感じた次第。 

個人的ヒット

今回、浅野先生からCMのお話しがでていましたね。

Apple iPhone「iPhone7 Plus The City 大切な人だけにフォーカスを。」

この「商品スペックを全く話さず、利用者の琴線を押してくる訴求」とでも言うのか、、、このあたりはサイモン・シネックさんのゴールデン・サークルなどお勧めかと。

V・ファーレン長崎ジャパネット高田社長が就任してV回復したお話しもありましたね。
「サッカーは90分の試合だけでなく、、、会場に入る前、帰宅後まで続いている。全部繋がっている」と予期的UX、一時的UX、エピソードUX、累積UXやん。というお話しなど。

「誰得?ナイフ」と映りそうな「141徳ナイフ」。。。あれ実在する商品だったり。

Web屋(元Flashの人)としてはfladdictこと深津貴之さんのこの記事好き。

「痛みの単位は1鼻毛」。。。

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